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一次産業現場におけるDX変革への抵抗との戦い

心理的類型と変革アプローチ 

2025年10月1日

日本の一次産業(農業・漁業・食品加工等)は高齢化と人手不足に直面し、DXや業務改善の必要性が強く叫ばれています。しかし実際には、新しい技術や仕組みを導入しても現場に浸透せず、変革が停滞するケースが多く見られます。その背景には、現場従事者の心理的抵抗が存在します。本研究は、現場で生じる抵抗反応を心理学的に分析し、経営層が有効な変革アプローチを設計するためのフレームワークを提示しています 。

研究では、抵抗を生む心理要因を「新しいことをやりたくない度合い(学習忌避・自己流維持)」と「役割を失うのではないかという不安度合い(雇用不安・役割喪失恐怖)」の二軸で整理。この2軸から現場従業員を4つのタイプに類型化しました。
 

  1. 封鎖型:両軸が高く、最も強固に変化を拒むタイプ。ベテラン層に多く、自分のやり方を守りたい心理と役割喪失不安が複雑に絡み合う。典型的には新システムを「現場では使えない」と頭ごなしに否定する行動が見られる。
     

  2. 保守型:雇用不安は低いが学習忌避が強いタイプ。表立った抵抗はしないが、自発的な学習や改善提案もせず、旧来のやり方に固執し続ける。
     

  3. 役割防衛型:新しい技術には前向きだが、「自分の役割がなくなる」ことを極端に恐れるタイプ。変革に積極的に見えても、立場が脅かされると抵抗に転じる。
     

  4. 共創型:両軸が低く、最も変革に適応しやすいタイプ。変化を学習と成長の機会と捉え、積極的に取り組む。DXの推進力となる存在。
     

 

 

各類型ごとに有効なアプローチも提言されています。封鎖型には役割再定義や短期成功体験の提供、保守型にはメリットの直接訴求と段階的導入、役割防衛型にはキャリアビジョン提示や権限移譲、共創型には裁量付与と称賛が効果的とされます。特に「短期的成果と長期的ビジョンの両立」が重要で、現場に成功体験を与えつつ経営トップが一貫したビジョンを発信し続けることが抵抗を減らす鍵となります。
 

結論として、変革は単なる技術導入ではなく「人間の意識改革のプロセス」と位置づける必要があります。経営層が現場の心理を理解し、抵抗タイプに応じた戦略をとることで、現場との共創によるDXが実現可能になります。本フレームワークは一次産業のみならず、あらゆる現場改革に応用できる実践的な指針となることが期待されます 。

DXONEは一次産業に特化したデジタルソリューションを提供しています。 私たちは、業務効率化を図るためのシンプルで実用的なツールの提供と、デジタル変革を成功させる徹底したコンサルティングサービスを通じ、一次産業の中小企業の成長を支援します。

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