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青果業界を取り巻く課題とDXがもらたす事業機会について

2025年6月1日

​要旨

日本の青果業界は高齢化や人手不足、複雑な流通構造や物流2024年問題など多くの課題を抱えています。従来の電話やFAXに依存した情報共有は需給のミスマッチや価格変動を引き起こし、卸売市場の収益率低迷もDX投資を阻む要因となっています。こうした状況を打開する鍵としてデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。本論文では、青果業界におけるDXの現状と課題を整理し、国内外の事例を踏まえてDXがもたらす事業機会を考察しました。

国内事例では、JA広島が導入したQRコードによる出荷伝票自動化で作業時間85%削減、誤記入70%減を達成し、価格改善にもつながったケースや、NJCの情報プラットフォーム「fudoloop」が需給情報の可視化によって価格交渉力を高めた事例が示されています。また、シノプス社による需要予測AI導入では発注作業時間50%削減、食品ロス25%削減、配送トラック47%削減といった成果が得られています。さらに、AGRIST社の自動収穫ロボットをレンタル方式で提供するモデルや、直販EC「食べチョク」「ポケットマルシェ」など、デジタルによる新たな流通チャネル創出も進展しています。

海外では、John Deereの農業データプラットフォーム、Walmartのブロックチェーンによる食品トレーサビリティ、オランダのデジタルオークションなどが成功事例として挙げられます。これらは「データ標準化」「業界全体での協調」「消費者に見える価値提供」がDX成功の要件であることを示しています。

提言として、本論文は①補助金やリースモデルによる導入コスト低減、②高齢農家向けの教育・サポート体制、③データ標準化と共通基盤構築、④需給予測やトレーサビリティによるフードロス削減、⑤消費者への付加価値提示による市場インセンティブ創出を掲げています。結論として、青果業界のDXは効率化だけでなく、生産者所得の向上や消費者サービス向上、さらに日本農業の競争力強化に直結する重要な手段であり、国内外の成功事例を活かした日本型DXモデル構築が求められるとしています 。

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